工場跡地の売買には注意を(土壌汚染対策法2月15日施行)

質問  今度某都市の市街地に、商業施設を作る計画をしています。ちょうど土地所有者が民事再生を申し立てたば
  かりで、遊休地なので安く処分しようとしていて好条件なのですが、買収にあたり注意すべきことはないでしょう
  か。

答え  当該土地が商業施設として適当か否かは、専門外なのでわかりませんが気になるのは、その場所は戦前
  から工業が盛んだったところですから、土地について土壌汚染対策法をにらんだ調査をする必要があると思い
  ます。

  1 土壌汚染対策法が平成14年5月29日に公布され、平成15年2月15日に施行されました(http://www.env.go.
  jp/ water/dojo/law.html)。
  
  2 同法は、土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがある土地について、都道府県知事の権限として土
  地所有者等に汚染の除去等の土地を命ずることを可能にした法律ですが、汚染原因者にも除去等の措置を命
  ずることができるようになっています。

  3 従って土壌汚染した土地を購入した場合は、買主に責任がかかってくることになります。

  4 汚染土壌の除去と一言でいいますが、汚染原因となった化学物質によっては、現場での土壌改良工事がで
   きないものもあり、その場合汚染土壌を他へ搬出して汚染されてない土壌と入れ換えなければならない場合も
   あります。そしてその汚染土壌を受け入れてくれる者を見つけることが困難なのはいうまでもありません。 東京
   あたりでは土壌改良工事に土地の価額を越える費用を要する場合さえあるということです。

  5 汚染した土地であるか否かは、都道府県知事が汚染区域を指定区域として指定・公示するとともに、指定区
   域の台帳を調整し、閲覧に供することになっておりますので、最低限これを調べる必要はあるでしょう。

  6 ところが売買契約により土地を取得するという場合は、これでは全く不十分です。土壌汚染対策法は施行され
   たばかりで、そのような台帳の記載はまだ完備していないでしょう。
    従って、まずは土地の履歴を調べて、工場跡地であるか否か、化学物質、油性物質の貯蔵等に使われたこと
   がないか判断する必要があるでしょう。
    でも土壌汚染は化学物質の性質上、何十年前の工場跡地であっても汚染が続いている可能性があります。
   この場合売主や近隣の者に聞いて回った位ではわからない場合もあるでしょう。
    もっと問題なのは、汚染物質は地下水を経由して隣地から移って来る場合さえあるということです。売買の直
   前に土壌改良をしても、しばらくするとまた隣地の汚染が移って来ることがないとはいえません。この場合は隣
   地との間の地中にファイアウォールを築く必要さえあるかも知れません。
    またたとえば砒素等の物質は天然のものもあるようで、天然の物質は本法の適用外のようですが、天然の砒
   素か人造の砒素か区別はつくのでしょうか。
    問題は天然の砒素との区別がつくか否かではなく、仮にわずかでも砒素が出たということによる風評が怖い
   のです。また少なくとも売買交渉の際にそのことを理由にして価格を値切られ、また損害賠償のトラブルを生ず
   ることが怖いのです。

  7 買主としては、契約交渉にあたって、売主の側に信用できる土壌調査会社に調査をさせその調査報告書を交
   渉に先立って提出させてはどうでしょうか。そんなにうるさいこというなら売らないという場合、なにか裏にあると
   見た方がよいのかも知れません。
    あるいは売主と買主が費用を分担して、ボーリング等の調査をするということもあって良いと思います。
    買った後に調査するというのでは遅いと思います。土壌改良費用がいくらかかるかをめぐって紛争となるから
   です。

  8 売買契約に当たって調査を経たとしても、念のため契約書中には、瑕疵担保条項(民法570条)を入れておく
   必要があります。どのような瑕疵担保責任を売主に負わせるかは、まさに交渉で決めればよいのですが、詳細
   は必ず顧問弁護士のチェックを受けましょう。
                                                           (伊達 健太郎)
    


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