リストラに伴うパートタイマーの解雇

1 パートタイマーという言葉そのものについて法律上定義はありませんが、短時間労働者の雇用管理の改善等に
 関する法律(平成五年六月十八日法律第七十六号。以下「同法」という)には、次のような定義があります。
   「この法律において「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者
 …の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう」(同法第2条)。
  同法はパートタイマーの労働条件の改善を意図して制定された法律ですので、ここにいう短時間労働者は法律上
 のパートタイマーのことを指しているものと理解して良いでしょう。
  したがって、法律上のパートタイマーとは、給与体系(時間給制であるか、月給制であるか)、パートタイマーという
 名称の有無、期間の定めの有無にかかわらず、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労
 働者の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいうものとされることとなります。

  なお、事実としてパートタイマーという名称であるにもかかわらず、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇
 用される通常の労働者の一週間の所定労働時間と同等の労働者については、そもそも通常の労働者(一般的に
 は"正社員"と理解すると分かりやすいところです)と同等に扱うべきであり、パートタイマー労働者としての問題は
 発生しないはずであるという結論になります。

2 パートタイマーに対しては、労働契約の際の労働条件の明示及び労働条件に関する事項その他の労働条件に
 関する事項を明らかにした文書(雇入通知書)の交付、就業規則の整備等が必要とされていますが(事業主が講ず
 べき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針(平成5年12月1日 労働省告示第118号)。
 以下「指針」という)、ここでは、リストラの一貫としてパートタイマーを解雇するという状況に際しての法律問題を検 
 討します。

3 まず、パートタイマーは多くの場合、一定期間の雇い入れである旨の定めがあるケースが多いものと思われま
 す。
  この場合、当該一定期間経過後に再び雇い入れを行わないことは解雇ではなく、通常の退職ということになりま
 す(雇止め)。
  しかしながら、期間の定めがある場合でも、何度も更新を繰り返している場合には、パートタイマーであっても長期
 雇用に対する期待が生じることから、期間の満了時であっても雇止めをすることはできず、通常の解雇に準じた取
 扱を受けることとなります(但し、更新の際に最後の更新である旨の明文の特約があり、お互いに納得しているよう
 な場合にはこの限りではありません)。
  他方で、期間の定めがある場合においても期間の最中に解雇する場合には、通常の解雇に準じた取扱をうける
 こととなります。
  したがって、これらの場合には、パートタイマーといえども労働基準法20条に定める解雇予告(指針第一、一、
 (六))及び解雇の正当理由の存在がない限り解雇されないこととなるのです。

  もっとも、パートタイマーは補充的な労働者であり、企業の仕事量に連動して採用されているのでありますから、 
 正社員の解雇理由とでは当然違いが生じることとなります。
  そこで、リストラに伴うパートタイマーの整理解雇が正当理由になるか否かを検討すると、仕事の減少により企業
 にとって正社員のみで業務を行っても支障をきたさなくなったような場合や当該部門そのものの閉鎖の場合には、
 前述のようにパートタイマーは企業の業務活動の量に連動して採用される者ですから、他の経営努力を講じた後で
 かかるパートタイマーから解雇することは正当事由になるように考えられます(雇止めでない場合には、期間の満
 了まで待てない、すなわち、雇止めではなく当該時期に解雇しなければならない合理的な理由も必要であると考え
 られます)。

  しかしながら、整理解雇にかこつけて一部パートタイマーを狙い撃ちで解雇することは、許されるものではなく、事
 業主が 解雇を考える際には、対象者を解雇するに相当な理由を説明できるようにしておく必要があるでしょう。逆
 に、パートタイマーから見れば、勤務態度も悪くなく経験も豊富である場合等に当該部門で1人だけ解雇になるよう
 な場合には解雇の有効性に疑問があることも考えられるところです。

4 さらに、パートタイマーの解雇が有効をされた場合にも、期間が満了していない場合には期間が満了するまでの
 賃金を支払う必要があるのか否かが問題となります。

  この点、当初定めた労働契約において、いつでも退職・解雇することができる旨の定めが期間満了までの賃金を
 支払う必要はありません。

  しかしながら、かかる合意がない場合には、民法628条により雇用期間中に一方の過失により終了した場合とし
 て、賃金残額分の損害賠償義務を負うことがあり得ます。

  もっとも、この民法上の雇用期間は企業だけではなくパートタイマーをも拘束することとなりますから、パートタイマ
 ーが退職する場合にも正当な理由がなければ損害賠償義務を負うこととなってしまいます。
  そのため、パートタイマーがいつでも自己の都合により退職することができる慣行がある職場においては、民法上
 の雇用期間の合意はなく、いつでも退職・解雇できるのであって、パートタイマーに対する賃金残額支払義務はな
 いものと考えられます。
  (柴田耕太郎)


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