マンション管理組合の総会が一日で終わらなかった場合について


(問題)
  マンション管理組合の総会(集会)において議論が紛糾した場合、一時議論を休止して約1週間後に再び再開す
 ることができるでしょうか。また、総会における委任状は1週間後に再開される総会においても有効でしょうか。

(回答)
 1 まず、集会の継続について区分所有法上に明文の規定はありません。
   しかしながら、集会の継続について規約に定めがある場合には、私的自治の原則より規約の定めに従うことと
  なります。
   なお、中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)には集会の継続に関する規定はありません。
 
 2 仮に規約の規定は欠いている場合、集会の継続は可能か否かが問題となります。
   この点、団体内部の意思決定についての手続という点で共通点を有する会社法には、次のような規定がありま
  す。

   商法243条 総会ニ於テハ延期又ハ続行ノ決議ヲ為スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第232 条ノ規定(招集手
          続)ヲ適用セズ

   すなわち、株主総会の開会後、議事に入る前に会日を延期することを延期といい、議事に入った後予定されて
  いた全ての審理を終了しないまま総会を中断し、後日、継続して審議を行うことを継続というところ、いずれも当日
  出席した株主の議決権の過半数をもって決議することができ、延期後の総会を延会、後日継続のために招集さ
  れた総会を継続会というものとされています。
   延会、継続会とも、当初の総会と同一性を持つものとされ、改めて招集手続きをとる必要はなく、議決権行使
  書、委任状の効力も継続しますが、決議の際には、延会の開催日、時間、場所を具体的に定めるか、議長に一
  任することが必要です。
   延長または継続がどの程度の日数まで認められるかについては、招集通知の発送日との関係で2週間程度を
  一応のめやすとすべきであると考えられています(通説)。
   なお、延会・継続会とも定められた要件に従うことが必要であり、要件を欠いた場合は、流会として、当初の招
  集手続からやり直さなければなりません。
 
 3 商法上の株主総会も会議体であり、かつ、時間的な制約がある中で開催する必要がある以上、延長・継続は
  自由になしうるのが原則であるとも思われるにもかかわらず、商法が一定な要件を定めたのは、できる限り出席
  者を確保しようとする趣旨であると考えられます。
   すなわち、総会の期日が伸びた場合には、当初の開催日であれば出席できなかったが別の日であれば出席で
  きるという者も存在するため、できる限り改めて招集手続を行うことが望ましいことから、商法がかかる規定を設け
  ているものと考えられます。
   マンション管理組合においては、判例上、集会の出席者に対して、できる限り出席機会を確保しようとする傾向
  があり、上記商法よりも、より趣旨が徹底されています。
   したがって、マンション管理組合において延会・継続会を認めれば、招集手続なく集会を行うことを認める結果と
  なるため、仮に認めるとしても商法の規定類似の要件を整えた場合に限られるものと考えるべきでしょう。
   また、継続会を開くことができる日数については、区分所有法上、招集通知は1週間前までに発送することとさ
  れているため(区分所有法35条1項)、第1回目の集会から1週間以内に開催する必要があり、次々回以降のさ
  らなる継続会は許されないものというべきです。
   なお、継続会と認められた場合には、前回の集会の際に提出された委任状は有効であると評価できます。
   また、前回の集会に出席できなかった区分所有者が続行会には出席できる場合には、当該区分所有者は当
  然に出席して議決権を行使することが可能です。
   これに対して、前回の集会に出席したが続行会には出席できない区分所有者については、規約をもって委任状
  若しくは議決権行使書の提出期限が「集会前まで」等と定められているような場合には、委任状等は前回の集会
  の開始時までに提出する必要がありますので、議決権を行使することはできません。
   もっとも、かかる規定を欠く場合には、委任状若しくは議決権行使書による議決権行使は可能であるといえま 
  す。
 
 4 本件においては、詳細な事情は明らかではありませんが、議長が継続を決めた際に、@出席者より継続の動
  議が提出され、議長がこれにつき採決を取った結果採用された、A議長より継続の提案がなされた際、出席者
  の拍手等により支持された等の事情があれば、類推適用される商法243条所定の要件を備えたものと評価でき
  ます。
   また、集会後に説明書を全区分所有者に配布することは、出席者確保の観点からも必須であるものといえま
  す。
   但し、この説明書が新たな招集通知と評価される場合には、次回総会は新たな集会であるとされ、委任状は無
  効となってしまうため、注意を要します。
   なお、前回の集会と続行会との期日間は、休憩中と同じ扱いであり、期日間に議事進行につながる行為を行っ
  たとしても効力は生じません。
   したがって、投票などはあくまで集会の場で行うべきであり、欠席者のみ書面投票とすることが適切であると考
  えます。
 (柴田 耕太郎)


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