|
(質問)
今回、私の住んでいるマンションで規約の変更を行う予定なのですが、私の住んでいるマンションの管理規約で
は「区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数による集会の議決」が必要とされています。ところが、マンション
の区分所有者は300件を超えるマンションで5分の4以上の賛成を得ることは、外部に住むオーナーさんもいることを
考えると到底不可能です。このような規約は大変不便なので何とかしたいのですが、規約を変更しなければならない
のでしょうか?
(回答)
1 建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という)31条1項は、規約の変更の手続に関して次のとおり定めて
います。
「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によつてす
る。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき
は、その承諾を得なければならない。」
2 この点、旧法下においては、規約の変更等は、原則として区分所有者全員の書面による合意によって行うものと
されていました(1983年改正前区分所有法24条1項)。
しかしながら、建物等を管理する際には、時代の趨勢に応じて規約を変更する必要があるにもかかわらず、全員
の合意が必要であるとすれば、特に区分所有者の多い物件における規約の変更は極めて困難です。
そこで、改正に際して、法は上記のように「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議」
により規約の変更を可能とし、区分所有者全員の同意を必要とする要件を緩和しました。
3 このような改正の経緯に鑑み、法31条1項に定める「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集
会の決議」は、例えば規約の変更に全員の同意または5分の4以上の変更が必要である等として、決議の要件を
厳格化することは許されないものと解されています。
他方で、法31条1項が定める要件を緩和することは、法律上認められている区分所有者が有する所有者として
の権利を制限することとなるため、許されないと解されています。
4 以上より、法31条1項の定める決議要件は、厳格化することも緩和することもできない強行規定であって、規約
の変更について区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数による集会の決議を必要とする規約は効力を有せ
ず、規約の変更をせずとも法の規定に従って規約の改正を行うことが可能であると思料致します。
(柴田 耕太郎)
(参考) コンメンタールマンション区分所有法 稲本洋之助 鎌野邦樹 著 日本評論社
|