マンションの管理費と破産・免責

(質 問)
 当マンションに住んでいる区分所有者は既に半年分の管理費を滞納しているのですが、この度、裁判所から「破産
開始決定」が届きました。その区分所有者に対して滞納管理費を請求することはできないのでしょうか。また、滞納
管理費を回収する方法があったら教えて下さい。

(回 答)
1 免責決定の効力の範囲 
 破産手続とは、大概すれば、ある時点において負債が資産を上回っていることを認定し(破産開始決定)、同時点
における資産を債権額に応じて債権者に配分する手続をいいます。また、破産者に配分すべき資産がないことが明
らかになった場合には、その時点で破産手続は終わることとなります(これを「廃止」といいます)。
 もっとも、破産手続開始決定のみでは、債務超過であることを認定されただけであって、破産者は負債を支払う義
務を逃れるわけではありません。
 そこで、破産法は破産者に早期の立ち直りを期待して、免責という手続を設けました。 この免責の対象となる債
権は、破産債権、すなわち、破産開始決定以前の原因に基づいて発生した債権を指します。
 したがって、マンションの管理費についても、少なくとも破産開始決定日以前の管理費については当該区分所有者
には請求できませんが、破産開始決定日以降に発生した管理費については免責の対象とはなっていないため、免
責決定にもかかわらず、当該区分所有者に請求することが可能です。
2 破産手続と管理費請求との関係について
 破産申立てがなされ、破産開始決定がなされた場合、破産債権は破産手続によらなければ行使することができま
せん。
 この点、マンションにおける管理費は先取特権を有していますが(区分所有法7条)、一般の先取特権ですので(同
条2項、民法306条1号)、破産手続外で権利行使し得る別除権と構成することはできません。
 なお、配当があるケースでは先取特権者として他の破産債権に優先して配当を受けることができます。
 以上より、配当がない場合には、破産開始決定日以前の債権を当該区分所有者に請求することはできないという
結論となります。
 もっとも、この場合においても、破産開始決定日以前の管理費について不動産の特定承継人に対する請求するこ
ともできます。
 この点、区分所有者は破産・免責決定を受けていることから、同じ債権を引き継いだ特定承継人にも破産債権たる
管理費を請求できないのではないかとの疑問もありますが、@そもそも免責とは債務を不存在にするものではなく、
債権者からの請求権を失わせるに過ぎないものである(債務者からの任意の支払いは有効である)上、A特定承継
人は区分所有者の債務を引き継ぐのではなく、不真正連帯の関係(債務者相互間に負担部分がない連帯債務関
係)にあるものと考えられているため、区分所有者の免責の影響を特定承継人は受けないということができ、免責決
定の有無に関わらず特定承継人に対して、破産決定以前の管理費も請求することが可能です。
3 以上より、破産・免責決定を受けた区分所有者に対しては破産開始決定日前の管理費は請求できませんが、破
産開始決定日以降の管理費等は請求することができるため、かかる請求を行い、区分所有物の売却等の進捗状況
を抵当権者等に確認の上、特定承継人に対する請求を準備して滞納管理費の回収を図るべきでしょう。
(柴田耕太郎)

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